浸透圧性下剤

今回から各種便秘薬の特徴を書いていきます。

浸透圧性下剤 薬の作用で腸管内の浸透圧を高めて水分を腸管内に移動させて便をやわらかくしたり、便のかさを増やす効果があります。塩類下剤、糖類下剤、ポリエチレングリコールがあります。

1)酸化マグネシウム(塩類下剤)

これは1823年にドイツ人医師のシーボルトによって持ち込まれました。当時 麻具涅矢亜(マグネシア)とよばれたこの南蛮渡来の薬は今年でちょうど渡来200年目になる古い薬ですが、まだまだ現役で現在日本の便秘薬のなかで最も使われている薬の一つです。

効果                                                  胃内で胃酸と反応した後に小腸で重炭酸マグネシウムや炭酸マグネシウムとなり、これらが浸透圧によって腸管内に水分を引き込み便を軟らかくすることで排便を促します。

メリット                                               1)習慣性や耐性がないので長期間服用しても問題なし。                                 2)血液中にはごくわずかしか吸収されず安全性が高い。                             3)安価

デメリット                                              1)高マグネシウム血症                                          腎機能の低下した人ではマグネシウムの排泄障害により蓄積することで稀に高マグネシウム血症が生じることがあります。(症状として嘔吐や脱力、傾眠、低血圧 重症では意識障害や呼吸筋麻痺)

2)併用薬に注意                                               ある種の薬と同時に飲むと併用薬の効果が減弱することがあり、時間をずらしたり、薬を変更することがあります(抗生剤 骨粗しょう症治療薬 高脂血症治療薬 制酸薬など)

消化器病学会の慢性便秘症のガイドラインでも強く推奨されており、便秘といえば「とりあえず酸化マグネシウム」というように居酒屋での「とりあえずビール」みたいな使われ方もされていますが、第一選択はコロコロした便、硬くて出しにくい便の方に使います。元々便の軟らかい方では下痢になったり、腹部不快を助長することもあるため逆効果のこともあり、便秘の種類に合わせて使う必要があります。

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