刺激性下剤について

刺激性下剤は大腸で腸内細菌により分解、代謝され腸の中にある神経(アウウェルバッハ神経叢といいます)を刺激して腸管を腸管の運動を促進して排便を促します。(腸を絞って便を出すイメージ)

アントラキノン系 :センナ センノシド 大黄                               代表的な薬剤として:センナ、センノシド系の薬剤ではセンノシド、プルゼニド、アローゼン、ヨーデル(個人的にこのネーミングは昭和なコテコテ感があってすき)などがあります。                     大黄は単独では作用が強く出すぎるためあまり使われず、漢方薬の生薬成分の1つとして用いられます(他の生薬との相乗効果や大黄の過剰な作用をおさえるためなど)

ジフェニール誘導体:ピコスルファートナトリウム ビサコジル                       代表薬として:ラキソベロン(ピコスルファートナトリウム)錠剤と液体があり、液体では用量を微調整できるの  で便利。                                               ビサコジル(テレミンソフト)坐薬なので薬が飲めない時や即効性があります(30分ほどで効果発現)

刺激性下剤の使い方

普段の便秘薬で出ずにおなかが張って苦しい時や、旅行、出張などで一時的に便秘になってしまったときなどあくまでも屯用としてレスキュー用に使えば有用な薬です。

刺激性下剤の副作用

1)薬剤耐性                                             なんといってもセンナ、センノシド系の下剤は長期間使い続けると耐性ができて次第に効かなくなります。はじめは常用量で効果があるので慢性の便秘の方は、出るからまた使うことを繰り返していき次第に下剤の量が増えていきます。気が付くと毎日数十錠のまないと出ないなど習慣性になってしまうこともしばしばあります。(アウウェルバッハ神経叢がしだいに麻痺していったり、腸管の壁が委縮して薄くなってしまうなど)例えば疲れて動かなくなっている馬に鞭打つと、最初は動きますが次第に動けなくなり、そのうち動けなくなるようなイメージです。こうなっては治療に反応しにくく難治性です。

2)腹痛 下痢                                              腸管を刺激して絞り出すため痙攣性の便秘の方に使うとしばしば腸の痙攣が強くなり、腹痛をきたしたり、下痢することがあります。刺激性下剤をのんでこのような出方をする方は控えたほうがよいでしょう。

3)妊娠中は原則禁忌                                           センナ、センノシド、大黄などは流早産の危険性が高まるため原則禁忌です。

4)腸管粘膜が黒くなる                                         刺激性下剤の長期連用で腸粘膜に色素沈着して黒っぽくなることがあります(メラノーシスといいます)。

 

 

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