便秘に使える漢方薬 1

これまでは便秘薬は現代薬のお話をしてきましたが、今回は古くから使われている漢方薬のお話を書いてみます。漢方薬と言えば時代劇などで医師が薬草を薬研(両側に持ちてのついた丸いやつ)でゴリゴリして「これを煎じて飲むがよい」とわたされているイメージがあるかもしれません。

昔は煎じ薬として薬湯を飲んでいました。葛根湯や麻黄湯など体を温める効果のある薬は、本来はお湯に溶かして飲んだほうが吸収もはやく効果も出やすいそうですが種類によっては独特な味や匂いのため慣れていないと飲むのに抵抗があるかもしれません。現代ではインスタントコーヒーの技術で顆粒や粉末や錠剤にして服用できますが、それでも人によっては抵抗があるので評価は分かれるところです。

漢方薬は紀元前200年ごろの古代中国が起源であり、5-6世紀頃日本に伝わります。その後江戸時代以降に鎖国のため日本では独自の発展を遂げています。現代で使われている漢方薬はそのころからあまり変わらず使い続けられています。効かない薬なら自然に淘汰され歴史の闇に消えていきますが、長い間生き残っているという実績が効果を示しています。

しかし漢方薬は万能ではありません。それぞれの薬には向き不向きがあます。患者さんの体質や状態(漢方では証といいます)を判断して使い分けしないと効果がないばかりか逆に悪くなることもあります。万人受けする薬ではないので処方する側にも証を見極めることが求められます。(これが結構難しい)

便秘に使う漢方薬の強さは含まれている大黄の量で大体決まります。それなら大黄だけでよくない?と思われるかもしれませんが、大黄単独では腸が刺激されるだけで効きすぎたり、お腹が痛くなることもあり、刺激性下剤を使っているのと変わりません。これでは値打ちがないので様々な生薬と合わせることで色々な作用が期待されます。前置きが長くなりましたが、便秘の時によく使う薬を紹介していきます。

1)大黄甘草湯(だいおうかんぞうとう) 構成生薬:大黄4.0g 甘草2.0g(7.5g中 一日使用量相当)       漢方薬は構成生薬の種類が少ないほどシャープな効き目があります。これは一番シンプルな組み合わせで甘草と合わせることで大黄が効きすぎるのを和らげています。切れ味がよいので一過性の便秘では1日使用量を使わなくても良く効く印象があります。市販されているなんとか漢方便秘薬はたいがい処方薬の大黄甘草湯の1/2の量がベースになっています。

調胃承気湯(ちょういじょうきとう)構成生薬:大黄2.0g 芒硝0.5g 甘草1.0g(7.5g中 一日使用量相当)                                                             大黄甘草湯と成分は似ていますが刺激成分の大黄の量が半分になりややマイルドになっていますが、芒硝という便を軟らかくする成分が含まれています。便が硬く出にくい人に使います。現代薬で例えるなら酸化マグネシウムとプルゼニドの合剤のような感じでしょうか。

 

 

 

                           

 

 

 

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